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2021.4.22
2023.10.11
ツヤのある深緑色がオリエンタルな魅力を醸し出す翡翠(ヒスイ)。ヒスイは他のジュエリーと違い、身に着ければ身に着けるほど美しくなる宝石と言われています。それはなぜなのでしょうか?
アジア圏では特に人気が高く、日本とも深い関係性をもつヒスイの魅力を、その特徴や歴史からひも解いていきましょう。
ヒスイは英語名でジェイドと呼ばれています。
ジェイドと呼ばれる石の中には、ジェーダイド(硬玉)とネフライト(軟玉)があり、日本で宝石として一般的なのはジェーダイドになります。
ヒスイが産出されるのは「沈み込み帯」と呼ばれる、地球のプレートが沈み込んでできる場所です。その沈み込み帯に位置する日本でも、質の良いヒスイが産出されます。
2016年には、日本鉱物科学会によって日本を象徴する石「国石」に選ばれました。
まさに日本ならではの地質が生み出す宝石なのです。
ヒスイは鮮やかな緑色をもつエメラルドと同様、5月の誕生石です。
また、日本では結婚35周年の結婚記念石でもあり、ヒスイのジュエリーや小物を贈り合う習慣があります。
翡翠という漢字には、「カワセミ」という読み方がある通り、鳥の名前が由来になっています。
赤と緑の美しい色彩を持つカワセミが、同じく赤と緑を併せ持つミャンマー伝来のヒスイと似ていることから、その名前が付けられたと言われているのだそうです。
ヒスイは、身に着ければ身に着けるほど美しくなる「色が育つ宝石」と言われています。
その理由は、肌の油分がヒスイの表面ツヤを増してくれるから。
通常、宝石には皮脂などが大敵ですが、ヒスイはその逆です。
乾燥に弱く、表面の油分が蒸発すると白く変色してしまうこともあるため、身に着けたり触る機会が多いほど美しい色になるとされています。
実はヒスイは、白、ラベンダー、ピンク、青、黄色など、多彩な色をもっています。
その中でも一番価値があると言われているのは、私たちにも親しみ深い緑色です。
中でも鮮やかで美しいエメラルドグリーンのヒスイは、「インペリアルジェイド」と呼ばれ、最上級のヒスイとして愛されています。
ヒスイの主な産地は、ミャンマー、日本、中国、ニュージーランド、ロシアなどです。
特にミャンマーでは、透明度が高くツヤのあるジェーダイドが採れることで有名です。
日本の主な産地は、新潟県の糸魚川(いといがわ)市。
糸魚川とその周辺では、宝石として価値が高いヒスイが多く産出されます。
他にも、鳥取、兵庫、岡山などの一部地域でも、ヒスイが産出されています。
世界最古のヒスイがあるのも日本の糸魚川で、糸魚川のヒスイは約5億2000万年前にできたものと言われています。
縄文時代には縄文人がヒスイの加工をはじめ、その後の新石器時代には武器や道具、装飾品として用いられてきました。
ヒスイといえば中国のイメージが強いですが、ミャンマーから中国へ渡ったのは1700年代後半頃。
中国のジェイドはネフライト(軟玉)が主で、彫刻の置物や装飾品に用いられたり、不老不死の力が宿るとされ死者と共に墓に埋葬されたりしていました。ヒスイはかの有名な権力者の西太后が愛した石としても有名です。
ヒスイの石言葉は「繁栄・長寿・幸福・安定」です。
古くからヒスイは神聖な儀式などに使われていて、中国では穴の開いたドーナツ状のヒスイは天国の象徴とされていました。
有名な哲学者の孔子も「ジェイドの明るさは天を表している」と記していたほど。
お守りとしての歴史も長く、ネガティブなエネルギーから身を守り、持ち主の魅力を伸ばしてくれると言われています。
美しいヒスイですが、持っている力や歴史を知る人からは「怖い」というイメージを持たれることもしばしば。そう感じさせる理由には以下のような背景が考えられます。
まじないの道具として使われていたから
ヒスイはニュージーランドやメソアメリカでまじないの道具として使われていました。
日本でも勾玉(まがたま)に加工され、神様に祀る祭具として使用されていた歴史があります。ネックレス状にした勾玉を身に着け、神様に祈りをささげる巫女の姿を映画やアニメなどで見たことがある人も多いはず。
そこからヒスイ=呪術の道具として不穏なイメージを持つ人もいるようです。
死者が身に着けていたから
ヒスイの歴史に死者が関わっていることも「怖い」イメージがつきまとう理由のひとつです。
古来より生命の再生をもたらす力があると信じられていたヒスイは、死者とともに埋葬する副葬品として人気の石でした。
古代中国や中南米の王族の墓では、死者にヒスイの玉を金属の糸で繋いだ玉衣(ぎょくい)を纏わせることで肉体を維持できると考えられていたそう。南中国でも再生への祈りを込めて死者の口などにヒスイ玉を詰める葬玉(そうぎょく)が行われていました。
不思議な体験談や口コミから
パワーストーンとしても人気のヒスイには、デトックス効果を感じた、安眠できるようになったなど、効果を実感したという体験談が多くあります。
そんな体験談の中には、「ヒスイが熱を帯びて危機を報せてくれた」「夢の中で先祖からの助言を受けた」という不思議なものも。そんなヒスイの力を肌で感じたという人たちの口コミから、強い力を持つ石=怖いというイメージがついたのではないでしょうか。
実際のヒスイは怖い石ではありません。
それどころか「純粋さと平穏の象徴」と言われていて、ネガティブな思考を解き放ちインスピレーションを高め、建設的な情熱を持って行動できるよう体と心の調和をもたらしてくれる存在といわれています。
中国では人徳を得るために必要な5つの要素である五徳(仁・儀・礼・智・信)が宿る石とされ、ヒスイを持つことで石の持つ徳が身体の中に移動すると考えられていました。
また、古くから身体のろ過器官と排泄器官の働きを助ける働きがあるとも考えられています。スペインでは実際に温めたヒスイを腎臓に当てるという治療法が行われていました。
アクセサリーやジュエリー、置物と、さまざまなものに加工されているヒスイですが、ジュエリーとして価値のあるヒスイにはどのような条件があるのでしょうか?
ヒスイの評価基準から、美しいヒスイの条件を見ていきましょう。
先にご紹介したように、ヒスイは緑色が一番価値が高いとされています。
鮮やかで濃いエメラルドグリーンが人気でしたが、最近では爽やかな青りんご色も人気です。
内部の組織上、色ムラが出やすいため、まだら模様がない、純粋なカラーのヒスイが価値が高いとされています。
ジュエリーとしてのヒスイは、山型になったカボションカットを施されるのが一般的です。
カボションカットは山の頂上の位置が高いもの、思わず手に触れてみたくなるような、表面が滑らかでくぼみがないものが高価とされています。
ヒスイの評価基準で最も大切なのは透明度です。
不透明から半透明まであるヒスイですが、透明度が高いほど美しいとされています。
上質なヒスイの中には、ヒスイを通して文字が読めるものもあるのだそう。
ヒスイは硬度が特別高い石ではありませんが、外から加えられる力に強く、水や光にも耐性があるため、比較的扱いやすいジュエリーになります。
カボションカットは表面に傷がつきやすいため、超音波洗浄は避け、他のジュエリーと分けて収納しましょう。
普段のお手入れは、外したらやわらかな布かセーム革で軽く拭く程度で大丈夫です。
日本と縁が深く、魅惑的な緑色が時の権力者や哲学者を魅了してきたヒスイ。
身に着けるほどに美しく育つ宝石だからこそ、ジュエリーは変色や腐食の心配のないプラチナを選びましょう。
どんなシーンや服装にも似合うプラチナは、毎日身に着けたいヒスイジュエリーにおすすめです。結婚記念日の贈り物はもちろん、“これからの人生が豊かになるように”と願いを込めたお守りジュエリーにいかがでしょうか?
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