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8月の誕生石スピネルとは?王族たちにも愛される宝石の石言葉や込められた意味

2024.3.5

2025.5.8

歴史に名を残す数々のロイヤルジュエリーを彩ってきたスピネル。長年ルビーやサファイアと混同されていたという少し変わった歴史を持つスピネルは、正体が分かってからも変わらずに王族たちに愛されてきました。
近年はその性質や希少性から日本でも人気が高まり、新誕生石にも選定されました。
ここではスピネルの特徴や歴史、石言葉から、その人気の理由を紐解いていきます。

  8月の誕生石スピネルとは?王族たちにも愛される宝石の石言葉や込められた意味

スピネルとは?

まずは、スピネルとはどんな宝石なのか、その特徴を見ていきましょう。

 

スピネルの特徴

スピネルは、マグネシウムとアルミニウムからなる酸化物鉱物の一種です。
赤色が有名ですが、ピンク、オレンジ、ブラウン、ブルー、パープルなど豊富なカラーバリエーションがあるのも特徴です。
屈折率が高いため、研磨することで美しい輝きを楽しめること、耐久性が高く内包物も少ないことから、古くからジュエリーとして親しまれてきました。

 

スピネルの産地は少なく、ミャンマー、スリランカ、マダガスカル、タンザニアの一部の地域でのみ産出されます。特にタンザニアのキリマンジャロ地方は、2000年代に入ってから良質なスピネルが発見され、近年注目されている産地です。
ミャンマーでは色彩豊かで比較的色の濃いスピネルが、スリランカではキャッツアイやカラーチェンジ、スタースピネルといった珍しいスピネルが多く産出されるなど、産地ごとでも異なる特徴が見られるでしょう。

 

スピネルの名前の由来

スピネルの名前の由来は、ラテン語で棘を意味する「Spina(スピナ)」。八面体の結晶が美しく、先端に尖った部分があることからこの名がつけられました。
和名でも、結晶の形にちなんだ「尖晶石(せんしょうせき)」という名で呼ばれています。

スピネルの種類

カラーバリエーションの多さが魅力でもあるスピネルですが、実はスピネルの本来の色は無色透明。クロムや鉄、亜鉛などが含まれることで、赤や紫、青など様々な色に発色するようになるのです。
ここでは、特に人気の色をその魅力とともに紹介していきます。

 

レッドスピネル

スピネルといえばレッドスピネルを連想する方が多い、最も有名な種類です。ルビーに似た鮮やかな赤色を持ち、ルビーの産出地でもあるミャンマーのモゴックで発見されたことから、長年ルビーと混同されてきました。
価格はルビーよりも安価ですが、美しい赤色のスピネルはルビーよりも希少性が高くなります

 

ブラックスピネル

ブラックスピネルは、その名のとおり黒色のスピネルです。
天然の黒色の宝石は珍しく、ブラックダイヤモンドにも似たマットな輝きと妖艶な雰囲気で、近年人気があります。

 

アヤナスピネル

アヤナスピネルはホットピンクのスピネルです。希少性と愛らしい色合いから、女性に高い人気を誇ります。
2007年にタンザニアのマヘンゲ鉱山で発見された比較的新しい石で、スワヒリ語で「美しい花」という意味がある「アヤナ」と名づけられました。

 

パープルスピネル

パープルスピネルは紫色のスピネルです。
絶妙な色合いが魅力で、淡い紫の「ラベンダースピネル」、すみれの花のような青みを帯びた紫色の「バイオレットスピネル」と、色合いによって呼び名も異なります。
他のスピネルと異なり、淡く優しい色合いの石が人気です。

 

コバルトスピネル・ブルースピネル

青色のスピネルは、より鮮やかなブルーを持つ「コバルトスピネル」、グレーがかったような落ち着いた色味のブルーカラーが特徴の「ブルースピネル」といったように、パープルスピネルと同様に、ブルーの色味の違いにより区別されています
サファイアと間違われてきたのは、このカラーですね。

スピネルの歴史

最古のスピネルは紀元前100年と言われていますが、多くが採掘されるようになったのは古代から。
東南アジアの鉱山では大きなスピネルがいくつも発掘され、王族や貴族に献上されましたが、この頃からレッドスピネルはルビーと混同されており、ロシアのエカチェリーナ2世の帝冠、エリザベス2世のネックレスなど、ルビーと称して大粒のスピネルが多く使われていました。

 

中でも特に有名なものが、「黒太子のルビー」です。
100年戦争前期に騎士として活躍し、黒い甲冑を身に纏って戦う姿から「黒太子」と呼ばれたイングランド王のエドワード皇太子は、14世紀ごろ、スペインのカスティーリャ王から140カラットもあるルビーを譲り受けたとされています。
その後黒太子の死後もイギリス王室に受け継がれたそのルビーは、後に科学者による鑑別でスピネルであったことが判明したのです。

 

ルビーとスピネルが正しく区別されるようになったのは、16世紀から19世紀頃
16世紀に鉱山学者によってスピネルが発見され名前を付けられたあとも200年以上にわたって、スピネルとルビーは混同され続けましたが、科学者や鉱物学者、宝石学者の発表によって徐々に人々に認知されるようになっていきます。

 

黒太子のルビーが大英帝国王冠の中央に留められたのもスピネルであると判明した後のことで、このようにスピネルの存在が明らかになってからも変わらず「黒太子のルビー」「ティムール・ルビー」のようにルビーの名称が使われ、スピネルはルビーと変わらない価値のある宝石として愛され続けてきたのです。

スピネルの石言葉

スピネルの石言葉は「成功」「情熱」「勝利」
ポジティブな石言葉からもわかるように、エネルギーを活性化させ、自己実現を後押ししてくれる石です。
前向きさはもちろん、成功しても奢らない謙虚さを喚起してくれるため、仕事面で成功を収めたいという方にもってこいの石です。

 

カラーごとの石言葉も

豊富なカラーバリエーションのあるスピネルには、カラーごとに異なる石言葉も。
カラーごとの石言葉は、次のようなものになります。

 

レッドスピネル 好奇心・情熱・活力など
ブラックスピネル 果敢・破邪・突破など
アヤナスピネル
(ピンクスピネル)
ポジティブ・自己達成など
パープルスピネル 自信・魅力・成功など
コバルトスピネル 成功・カリスマ性など
ブルースピネル 審美眼・美的意識など
グリーンスピネル 希望・愛情・幸福など

スピネルは8月の誕生石

生まれた月や、その月の宝石を身に着けることで幸福を招くとも言われる誕生石。
スピネルは、8月の誕生石に選ばれています。
もともと8月の誕生石はペリドットとサードオニキスの2つでしたが、全国宝石卸商協同組合によって63年ぶりに行われた2021年12月の誕生石改訂によって、スピネルが新たに加えられました。
アメリカでは古くから8月の誕生石として親しまれていたことや、レッドスピネルの燃えるような赤色が夏をイメージさせることなどから、8月の誕生石に選ばれたとされています。

 

誕生石が複数ある理由

もともと誕生石は旧約聖書に載っている12の宝石がもとになり、西洋占星術に取り込まれて現在の形になりました。
誕生石が複数あるのは、その国の人々がより親しみやすいように、関心を持ってもらえるようにと、国によって宝石を変えたり、増やしたりしているためです。
日本でも、今回の改訂で新たに10種類の誕生石が追加されました。
誕生石一覧はこちら

 

ここからは、8月のほかの誕生石も少しだけ紹介していきましょう。

1. ペリドット

ペリドットは夏の木々を感じさせる、爽やかなイエローグリーンの宝石です。
エジプトでは「太陽の宝石」として、ファラオの王冠や装飾に使用されてきた歴史があります。「夫婦の愛」という石言葉があり、色欲をなだめ、夫婦円満へ導いてくれると言われています。
ペリドットについて詳しく見る

 

2. サードオニキス

サードオニキスは赤やオレンジの地色に、美しい縞模様を宿した宝石です。
硬度が高く、古くからカメオや彫刻に加工され愛されてきました。石言葉は「夫婦の幸福」で、邪な考えから持ち主を護り、夫婦や恋人関係に安定をもたらすと考えられています。
サードオニキスについて詳しく見る

スピネルの持つパワー

スピネルは挑戦や目標達成の石とも言われており、様々な夢や目標を達成するためのお守りとしてもおすすめです。
「勝利を呼ぶ石」とも言われており、思考力や判断力を高め、モチベーション向上などのサポートもしてくれるでしょう。

 

また、例えばブラックスピネルは持ち主の安全を守ってくれると言われ、魔除けのお守りにおすすめであったり、ピンクスピネルは「恋人探しの石」と呼ばれ恋愛面のパワーをくれたりと、石言葉が異なるようにカラーごとでも様々な意味やパワーを持っています。
悩みや叶えたい願いから身に着けるカラーを選んでみても良いですね。

スピネルの価値は何で決められる?

スピネルの価値は、次のような様々な要素で決められます。

 

カラー

多彩な色が存在するスピネルでは、色そのものは個人的な好みもありますが、最も価値が高いとされるのが代表的なレッドスピネルです。
また、どんなカラーであっても色が濃く鮮やかなものが評価が高いとされています。

 

透明度(クラリティ)

他の宝石でも同様ですが、基本的にはインクルージョン(内包物)が少なく、透明度の高いものが価値が高いとされます。
スピネルでも透明度の高いものは希少で価値が高いですが、中にはインクルージョンが含まれることで美しい光学効果が現れ、価値を高める場合もあります。

 

スピネルで稀に見られるのが、「キャッツアイ効果」と呼ばれる猫の目のような光の筋が現れるものや、光の反射によって星形の模様が見られる「スター効果」を持つものです。
これらは非常に希少なため、カラーを問わず高い価値を持っています。

 

カット

スピネルは産出量がとても多いというわけではないため、原石を無駄にせず、なおかつその豊富なカラーを引き出すカットであるかも重要です。
また、前述したキャッツアイ効果やスター効果が見られる物では、その効果をより引き出すためのカットが施されます。

 

カラット

スピネルは大きなサイズでの産出は少なく、多くが1〜5カラットになっています。
そのため、3カラットを超えているものは評価が高いとされていますね。

スピネルのお手入れ方法

スピネルのモース硬度は8。ダイヤモンド、サファイアに次ぐ硬さがあります。
水にも強いため比較的扱いやすく、普段のお手入れはやわらかい布で拭くだけでOKです。皮脂汚れなど宝石のくもりが気になってきたら、中性洗剤を溶かしいれたぬるま湯に浸し、やわらかいブラシなどで汚れを落とします。
しっかり水気を拭き取り乾燥させてから、他の宝石と分けてしまうようにしましょう。

スピネルとプラチナ

加熱処理をしたものが多いルビーと異なり、スピネルは天然の色味が魅力です。
カラーバリエーションも豊富で、カラーによって異なる雰囲気を楽しむことができるでしょう。
そんなスピネルの色を楽しむジュエリーには、宝石そのものの色の邪魔をしないプラチナがおすすめ。硬度が高く、安定性や耐久性にも優れたスピネルは、同じく安定性に優れ、美しい輝きが続くプラチナと合わせることで、長く愛せる一生モノのジュエリーに。
デザインや色も豊富なため、自分らしいカラーストーンジュエリーを探している方にも最適です。

まとめ

ロイヤルジュエリーとして王族に献上されてきた、華々しい歴史を持つスピネル。
ルビーではないと発覚してからも変わらず愛されてきたのには、人々がスピネルの本質に美しさを見出していたからに違いありません。
夢や目標、自己実現のサポートをしてくれるスピネルは、未来に向かって努力する大切な方への贈り物や、自身のお守りにもぴったりです。
ぜひジュエリーに取り入れて、その美しさを間近で堪能してくださいね。

監修

PLATINUM

Preciousplatinum.jp編集室

プラチナ・ジュエリーの国際的広報機関であるプラチナ・ギルド・インターナショナルによる情報サイト。
プラチナの価値を伝えるとともに、プラチナ・ジュエリーに関する実用的なアドバイスや専門的な情報を幅広く提供しています。

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