プラチナ・ジュエリーの国際的広報機関による情報サイト
2023.3.1
2025.9.3
ジュエリーの素材として、どちらも人気が高いプラチナとシルバー。
見た目が似ていることから比べられることが多いですが、化学的にはもちろん、色や希少性、実用面から見ても全く異なる素材です。
それぞれの違いを正しく知った上で、気分や着用シーンにふさわしいジュエリーを選びたいですよね。
ここではプラチナとシルバーの気になる見た目や希少性の違いから、硬さや重さといった実用面での違い、お手入れ方法も比較しながらそれぞれの魅力について解説していきます。
(写真の左がプラチナ、右がシルバー)
似ているように見えるプラチナとシルバー。
どちらも和名には「白」が使われているものの、その色や輝き方は全く異なる雰囲気を持っています。
プラチナ
日本では「白金(はっきん)」と呼ばれてきたプラチナ。
シルバーと比較すると落ち着いた色合いで、しっとりと重厚感のある白色が特徴です。
控えめな輝きは、知的で爽やかなイメージを与えてくれます。
純潔をイメージするような宝石を引き立てる白色のため、結婚指輪に用いられる素材としても人気ですね。
化学的にも極めて安定している貴金属のため、日常生活の中で変色の心配はありません。
シルバー
一方シルバーは、日本では「白銀(しろがね)」と呼ばれてきました。
反射率が高いためプラチナよりも明るく、やわらかな光をまとった白色が特徴です。
軽やかな印象を与えてくれるため、よりカジュアルな装いに似合うでしょう。
化学的に安定しているプラチナとは対照的に、シルバーの化合物は化学的にも不安定です。空気中に含まれる硫化水素と結びつくことで硫化を起こし、日常生活の中でも黒く変色することがあります。
プラチナとシルバーは硬さ(硬度)も異なります。
素材の硬さを数値で表すことができる「ビッカース硬度」の数値から比較してみましょう。
プラチナ
純プラチナの硬度は、「ビッカース硬度」で約50Hv前後とされていますが、一般的にジュエリーに使用されるプラチナ(Pt900)では、70〜75Hv程度となっています。
一般的なゴールド・ジュエリーの18金(K18)の120〜130Hvと比較すると柔らかいとされているものの、プラチナは粘性と呼ばれる特有の粘り気があるため折れにくいという性質があります。
また現在では、割金(強度を上げるために混ぜられた他の金属)の工夫によって、純度も高くかつ硬度も増したハードプラチナも多く出ていますね。
シルバー
シルバーの硬度は、「ビッカース硬度」で純銀で25Hv~程度、ジュエリーに多く使われるスターリングシルバー(SV925)でも60~70Hv程度と、プラチナ・ジュエリーに比べても柔らかく、傷がつきやすい傾向があります。
柔軟性があるため様々なデザインに対応できるというメリットもありますが、扱いによっては摩耗が激しくなってしまうでしょう。
プラチナとシルバーはその希少性にも大きな差があります。生産地や生産量にはどんな違いがあるのでしょうか?
プラチナ
プラチナは南アフリカ、ロシア、北米などの限られた地域にしか存在せず、年間で採れるプラチナの量は200tほど。
世界各国に存在し年間生産量3000tを誇る金と比較すると、いかに希少性が高いかがわかります。
また、1トンの原鉱石から採れるプラチナはたった3g。細いリング1本分しか採れません。
プラチナの希少性についてはコチラ
シルバー
シルバーの主な生産地はメキシコやペルー、中国などですが、韓国やオーストラリアなど、他の多くの国からも産出されており、年間生産量は2500tほど。プラチナの10倍以上あります。
生産量で比較すると、希少性の面ではプラチナに軍配が上がります。
では、重さの違いはどうでしょうか?比重(水を1とした場合の密度の比)から見る違いを見ていきましょう。
プラチナ
一般的なプラチナ・ジュエリー(Pt900)の比重は20.8。ゴールド・ジュエリー(K18YG)の15.4と比べても重さの違いがわかります。そのため華奢なデザインのジュエリーでも、プラチナはその密度と重みから肌にしっとり馴染みます。
シルバー
シルバーの比重は約10程度と、プラチナの1/2ほどになっています。
手にすると、明確な重さの違いがわかるでしょう。
着け心地が軽く感じられるため、特に大振りなジュエリーやコンテンポラリーなデザインには、シルバーの軽さがメリットになります。
安価なイメージがあるシルバーですが、実際はどのくらいの差があるのでしょうか?現在の買取相場を参考に、それぞれの価格の違いも見ていきましょう。
プラチナ
2025年8月上旬現在で、ジュエリーによく用いられるPt900のプラチナの1gあたりの買取価格は、6,000~6,500円前後とされています。
プラチナは自動車産業における工業利用が約60%を占めているため、自動車の売れ行きによって価格が大きく変動しますが、近年は上昇傾向にあります。
シルバー
2025年8月上旬現在、ジュエリーで使われやすいSv925のシルバーの1gあたりの買取価格は150~200円前後で、プラチナと比べてもその差は歴然です。
シルバーが安価な理由は、生産量と埋蔵量が多いことが挙げられます。
プラチナのこれまでの累計の採掘量は7000tほどですが、シルバーはその100倍以上の100万t。
さらに埋蔵量も2020年の時点で11万tが確認されていることから、希少性が高いプラチナとの価格の差が生まれています。
これまでご紹介してきたように、プラチナとシルバーにはそのカラーから強度、希少性まで、様々なポイントで違いがあります。
それでは、実際にジュエリーを選ぶ際には、プラチナとシルバーをどのような基準で選んだほうが良いのでしょうか。
ライフスタイルやアレルギーの有無、用途など、ケースごとにプラチナとシルバーどちらを選ぶとよいのか、その判断基準をご紹介します。
まず判断基準のひとつになるのが、どんなタイミングで身に着けられるジュエリーを探しているかという点です。
例えば、日常のファッションのアクセントになるようなジュエリーや日々のお守りとなるような身に着ける機会の多いジュエリーを探しているという場合、比較的安価で手に入り、カジュアルに身に着けられるという点でシルバーを選ぶ方も多いでしょう。
しかし、強度や変色・変質の面では汗などにも強く化学的に安定しているプラチナのジュエリーであれば、日常生活で身に着けていても変質の心配がなく、永く身に着けられるでしょう。
金属アレルギーの不安がある場合には、アレルギーの出にくい素材を選ぶのが良いでしょう。
シルバーとプラチナはどちらも比較的金属アレルギーを起こしにくい素材であると言われています。
しかし注意しなければならないのが、貴金属は加工のために割金と呼ばれる他の貴金属を混ぜており、特にシルバーに使われる割金にはアレルギーを比較的起こしやすいものが多いという点です。
アレルギーの不安を減らすためにはプラチナ、シルバーでも純度の高いものを選ぶのがおすすめですね。
続いては、ジュエリーの用途で選ぶ場合です。
特にジュエリーの素材選びで迷うタイミングと言えば、やはり結婚指輪ではないでしょうか。
婚約指輪・結婚指輪では、圧倒的にプラチナが多く選ばれています。
結婚の場では神聖な色とされる純粋な白色を持つプラチナは、変色することもほとんどなく、その変わらない白色と希少性が「永遠の愛」をイメージさせる象徴として愛されています。
また、結婚指輪は日常的に肌身離さず身に着けることも多いでしょう。
生活の中で身に着けていても変質しない耐久性の高さと、どんなシーンでもトレンドに左右されずファッションとマッチするその美しさも、結婚指輪に選ばれる理由のひとつです。
最後はお手入れの違いについてです。それぞれの日々のお手入れと特別なお手入れの方法を紹介します。
プラチナ
日常生活において変質・変色の心配がないプラチナは、普段のお手入れも柔らかい布でサッと拭くだけでOKです。
皮脂汚れなどが気になる場合には、ぬるま湯を張った容器に台所用中性洗剤を少量溶かした中に入れ、やわらかな筆やブラシで気になる汚れを取り除きます。
水でよくすすぎ、柔らかい布で水分をしっかりと拭き取ってから乾かしたら完了です。
プラチナ・ジュエリーのお手入れ方法はコチラ
シルバー
プラチナと違い変色しやすいシルバーはこまめなお手入れが必要になります。
普段のお手入れではプラチナ同様、やわらかな布で拭いてください。
黒ずみが気になってきたら研磨剤が入ったクリームや専用のクロスで磨くか、専用のクリーナーで浸けおきをすると見違えるようにきれいになります。
保管している間にも空気中の硫化水素と結びついて硫化が進むため、外したらジップ付きの小袋に入れて空気を抜いておくのがおすすめです。
プラチナとシルバーは似ているようで、カラーから強度、希少性、価格まで、あらゆる点に違いがあります。
素材選びで後悔しないためには、ご紹介したようにアレルギーの不安、身に着けたいタイミングなど、2つの特徴の違いを分かったうえで、用途に合わせて選びましょう。
例えば永く美しく使い続けられるものがよい、普段使いのため軽い方がうれしいなど、何を重視するかもそれぞれ異なるでしょう。
迷ったときには、店頭で実際にそれぞれ試着してみるというのもおすすめです。
馴染み方や重さなど、身に着けてみることで分かることもあります。
軽やかな白い輝きとリーズナブルな価格が魅力のシルバーと、重厚感のある白色に希少価値の高さ、安定した特性が魅力のプラチナ。
同じ白色でもそれぞれ印象は異なり、また素材としての特徴にも様々な違いがあります。
自分に合ったお気に入りのジュエリーを見つけるためにも、違いを知っておくと良いでしょう。それぞれに魅力を活かしたコーディネートで、日々のおしゃれを楽しんでくださいね。
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