プラチナ・ジュエリーの国際的広報機関による情報サイト
結婚指輪の起源は、古代ローマとされています。大プリニウス(23頃〜79年)は、鉄の指輪を婚姻の誓約の証として贈ったことを記しています。鉄は力を象徴する金属、その指輪は結びつきの強さと美しさを表すと考えられていました。当時の結婚は一種の契約と見なされ、その履行を成約する証として指輪が登場したのです。
キリスト教が広まると、互いの貞節と一夫一妻の結婚観が浸透します。そして愛情に基づく結婚を象徴するために、婚約・結婚指輪にセンチメンタルな意味が込められるようになるのは17世紀からのことです。ロマンチックなモチーフや、手を握りあわせたフェデ、宝石の頭文字で愛の言葉を表したリガード、あるいは組み合わせると一つになるギメル、さらに愛の言葉を刻んだポージーといった様々なリングがこの時代に登場します。
結婚のしるしにリングを贈る習慣は中世ヨーロッパから広まったといわれている。当時の結婚リングには愛を誓う短い言葉がしばしば刻まれた(中世の木版画より)。
最も硬く白く輝くダイヤモンドは、結婚の永続性と女性の純潔を象徴するものとして、ルネッサンスの頃から婚約指輪に用いられてきました。やがてカトリック教会の影響の下で結婚の神聖と処女性が重んじられるようになると、結婚指輪にも純潔を表す銀が金より好まれるようになります。
19世紀に純白のウェディング・ドレスの習慣が定着すると、白い貴金属への需要はいっそう促進されます。プラチナがジュエリーとして登場するのはこの頃です。変色せず、白い輝きはより強く、最も永続性に優れたプラチナは「天国の貴金属」と称賛され、20世紀に入ると婚約・結婚指輪に最もふさわしい貴金属となったのです。